背景
- 活動期に入ったとも言われていますが、最近は世界中で火山活動が活発化しています。また地震も同様に発生しています。
- 最近の台風は風雨共に強くなってきている様子です。地球温暖化の影響かどうかはともかく、地球全体的に気候の変動が厳しくなる傾向にある様です。
そこで当社からご提案させていただくのが「自然災害プログラム」です。「自然災害プログラム」の基本は
- 人は避難する。
- 物(自宅、家財、自動車等)はできるだけ被災を防ぐ努力をする事が前提ですが、移動できませんので補償する以外にない。
- 持続可能なシステムとする為、安いコストで、あまり特別な事をしない。
目次
人は避難
人命にかかわり、避難が必要な災害の代表例は水害と震災でしょう。水害は警報や避難勧告を出せて、対策が立てやすい。一方、震災は突然発生するため、事前に警報を出しにくいという違いがあります。事前の準備と素早い対応を求められる震災の避難対応について、東日本大震災の事例から考えたいと思います。
震災で被害にあわれた方々には謹んでお見舞いを申し上げます。多くの犠牲を出されたこの貴重な事例から、私たちはできるだけ多くの事を学び、今後の教訓とさせていただく事で、少しでも報いられればと思います。
避難の有効性
避難はシンプルで、災害対策の中でも最もコスト対効果が高いという特徴があります。
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安全な場所に避難できれば、確実に助かります。
問題は避難する場所です。東日本大震災でもあらかじめ決まっていた避難場所に避難したにもかかわらず被害に遭会ったり、更に高いところに避難しなければならなかった、というケースがあったとのことです。災害時の避難のポイントは、「災害の大きさを想定しない事」ではないでしょうか。津波避難であれば、「津波がどこまでくる」「どんな高さの津波がくる」といった想定をしない。そうすれば想定外の被害もなくなります。具体的には、事前に避難場所を決める場合には、更に高い所へ上れる場所を選ぶ等、そうすれば2・3階建てのビルはやめることになります。もちろん、災害時に時間的にそこしか選択肢が無い場合等は別です。
コストが安く、継続することが負担になりません。
津波対策といえば、例えば堤防を高く丈夫にする等が考えられます。それらに対して避難の費用は非常に安く、というよりほとんど費用がかかりません。厳密に言えば避難にかかるのは時間コストだけですので、仮に数年に1回程度、津波警報が出ても1時間程度までの時間コストと考えられます。この程度の費用であれば、津波警報のたびに避難をして空振りが多くても、容認でき継続できるのではないでしょうか?避難は誰でも簡単にできて、避難できれば確実に助かり、費用もかかりません。ただ、東日本大震災では避難できずに多くの犠牲がでました。避難を確実に実行できるようにするにはどうすればいいのでしょうか?
なぜ避難できなかったのか?
東日本大震災後、様々な研究結果が発表されていますが、聞き取り調査研究として発表されている「東日本大震災における津波避難」より、避難の失敗・成功の要因を抜粋してみました。
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避難失敗の要因
- まさかここに津波が来るとは思わなかった
- 津波避難意識が欠如していた
- 老人や子供などを助けに行って被災した
- 車に乗っていて津波に襲われた(「車で逃げたから助かった」ケースもある)
- いつものように、大したことはないと思った
- 足が悪くて避難できなかった
- 避難場所に津波が来た
- 津波を見物に行った
- 物を取りに戻った
- 漁師の「沖出し」の失敗
避難成功の要因
- 地震の揺れが大きかったので、津波が来ると思った
- 津波警報を聞いたから
- 津波警報の時にはいつも逃げていた
- 消防団や周りの人に言われた
【参考】東日本大震災における津波避難 聞き取り調査から避難成否の要因を探る 日本災害情報学会 第13回研究発表大会 2011年 予稿集 p267-272
東日本大震災の避難事例から学べる事
被害が少なかった所では、下記の事ができていた事例が多かった様に思われます。
- 避難の場所や経路を事前に準備していた
- 避難訓練等を事前に実施していた
- 指示待ちではなく、自分で判断して行動した
対策
上記をふまえて、各個人・家庭で話し合い、災害時の意識や行動について共有しておきましょう。まず自分が助かることを第一に、そして周りの人の助けになれればと思います。
避難の場所や経路の事前準備
下記の事項等を考慮して、避難の場所や経路を事前に準備します。
- 自宅の立地条件、災害の種類により避難の経路や場所が違うことがある。
- 家にいる時、職場にいる時、学校にいる時、介助が必要な人がいる場合等。(【参考】災害発生時の居場所)
- 親が学校・幼稚園・保育所等に迎えに行かずに済むようにする。
東日本大震災の避難事例でも見受けられたのが、子供を学校等に迎えに行ってともに被害に遭うといった痛ましい事例です。迎えに行くと時間がかかってしまうので、今いる場所から最短で避難します。各自迅速に避難してから、予め打ち合わせた方法で連絡をとり、避難所で落ち合います。 自宅・学校等・職場・病院や施設等、それぞれの場所から的確に避難するという、地域全体の申し合わせや信頼が必要になるので課題はあります。 - 車の使用について
一般的には渋滞が発生して身動きが取れなくなるので、避難に車は使用しないことになっていますが、「過疎地である」「自力で避難できない人がいる」等、状況次第では車の使用を考慮します。 実際に東日本大震災でも車で避難して被災した人が多くいましたが、車で避難したから助かったという事例もありました。 - 一般的な災害への備えは首相官邸ホームページ等に掲載されていますが、内容を全て実行・継続することが難しい場合等は、維持継続できる工夫が必要です。(【参考】首相官邸ホームページ 災害への備え)
- 水、米、インスタントラーメン等の乾麺、缶詰、カセットボンベ等は日常使用しているものを多めにストックして、日付の古いものから消費していく。
- 非常持ち出しバッグ等も準備できれば良いのですが、準備していなかったり、準備していても直ぐに持ち出せない場所に保管している場合、荷物を持ち出そうとすると時間がかかり危険です。まずは避難を優先すべきでしょう。東日本大震災でも一旦避難していたのに、物を取りに戻ったり、荷物をまとめるのに時間がかかって被災したケースが多かったようです。最近はラジオもスマートフォンの方がクリアに聞けたり、銀行預金も通帳が無い場合がある等、臨機応変に対応しましょう。とりあえず、防水のスマートフォンと充電器は持つべきでしょう。(携帯電話も通信が集中したり、地域の長時間停電により基地局の電源が喪失すると、つながりにくくなったり、使えなくなるようです。)
避難訓練等の実施
地域で実施できれば良いのですが、なかなか難しい事もあるでしょう。そんな場合は、年に1~2回は家族で散歩代わりに避難所まで歩いてみるとか、定期的に意識して避難について会話する等、意識を継続できる方法を工夫します。
自分で判断して行動
どんなに準備して訓練しても、実際には訓練通りの災害は起きないでしょう。自分や周りの人が助かるには、基本をおさえた上で臨機応変に対応できることが必要です。その為に、基本である事前の準備・シミュレーションが大切で、機会がある毎に「こうなったらこう対応する」といった想定をして、それを積み上げていくことが必要です。
津波てんでんこ
「てんでばらばらにでも早く逃げる」との意味で、大津波で家族が共倒れする悲劇に見舞われてきた三陸地方の人々が、やむにやまれず生み出した教えとのこと。 事前に家族内、会社と従業員家族、学校と保護者等、他者との信頼関係を築いていることが大切で、信頼せずに迎えに行って共倒れにならないよう、事前に「てんでんこ」を約束して実行することでお互いの命が守られる。 また、逃げる様子から他社に避難を促す率先非難の役割や、避難支援を含めてギリギリまで最善を尽くせ、でもどうしても救えない場合はその選択は仕方がない、という意味もあるとのこと。